「浮気公認」ではない？オープンマリッジに隠された現代人の「結婚ストレス」

最近、「オープンマリッジ」という言葉を耳にする機会が増えました。

これは、夫婦がお互いの合意のもと、配偶者以外との恋愛関係や肉体関係を認めるという、従来の結婚観からは大きく逸脱した夫婦の形を指します。

「浮気公認なんてありえない」「結婚の意味がない」といった批判がある一方で、この話題がこれほどまでに広がる背景には、多くの現代人が抱える「結婚ストレス」が隠されています。

今回は、オープンマリッジを心理学的に考察し、私たちが結婚という枠組みに感じる「揺らぎ」の本質を読み解きます。

オープンマリッジが注目されるのは、現代の結婚生活において、以下の2つの心理的欲求が満たされにくくなっているからです。

結婚は、配偶者を「独占する権利」を得ることだと無意識に捉えられがちです。しかし、この独占欲は、パートナーにとって「束縛」となり、やがて「息苦しさ」へと変わります。

心理：
人はコントロールされると感じると、反発しようとします（心理的リアクタンス）。結婚生活が長くなり、「個人」としての自由や好奇心が抑制されることで、パートナーシップの維持にストレスを感じるようになります。

結婚生活が長くなると、パートナーに対する恋愛的な「ドキドキ」は薄れ、「安心感」へと変わります。これは自然な脳の仕組みですが、人は非日常的な刺激（ドーパミン）を常に求める生き物でもあります。

課題：
結婚生活で得られる「安心感」と、個人が求める「恋愛的な刺激」を両立させることが難しい。オープンマリッジは、この二律背背反する欲求を、「夫婦関係を維持したまま」解決しようとする、一つの極端な実験とも言えます。

オープンマリッジを成立させるには、「理性」でルールを決めるだけでなく、「感情」をコントロールする高度なスキルが必要です。

最大のデメリット：
嫉妬や不安といったネガティブな感情の発生です。頭では「自由を認めている」と納得していても、パートナーが他の人と楽しんでいる姿を想像すると、人間が持つ本能的な独占欲が引き起こされます。

オープンマリッジを維持できている夫婦は、この「感情の壁」を乗り越えるために、従来の夫婦以上に徹底的なコミュニケーションを重ねています。

オープンマリッジという選択肢を肯定するか否定するかに関わらず、このトレンドから私たちは、健全なパートナーシップを維持する本質を学ぶことができます。

それは、「話し合わない結婚は、いつか破綻する」というシンプルな事実です。

学ぶべき本質：
- 「察して」をやめる：
  相手に期待せず、自分の不満、欲求、不安をすべて言語化して伝える勇気を持つこと。
- 「個人の尊重」：
  結婚しても、お互いの時間、友人、趣味を「束縛しない」という信頼関係を築くこと。

オープンマリッジは、「一対一の関係だけでは満たされない」という現代の課題に対する、一つの極端な回答です。

しかし、その成功の鍵が「徹底した対話と信頼」にあるという事実は、すべての恋愛や結婚に共通します。

もし、今のパートナーシップに息苦しさを感じているなら、オープンマリッジを選ぶのではなく、まずは「自分の感情を正直に伝えても大丈夫」という安全な関係を築くことから始めてみませんか。